イントロダクション 幸せのカタチは決してひとつではない。

映画『ライアの祈り』――それは、人生に臆病になっていたひとりの女性が
“人間本来の生き方”のエッセンスに満ちた“縄文時代”に触れ、
自身の幸せのカタチを見出して一歩踏み出していく姿を描く、優しさ溢れる感動作。

 明るく姉御肌、だが恋や人生に臆病になっている主人公・桃子の心情を、リアルかつ細やかに演じるのは、ドラマ「相棒」シリーズ、映画『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係絶海の孤島へ』(14)などドラマ、映画における女優業の一方で、番組のパーソナリティ等多方面で活躍中の鈴木杏樹。桃子が出会う、縄文時代への情熱に燃える誠実で不器用な研究者・クマゴロウこと佐久間五朗役に、映画『ストロベリーナイト』(13)ほか数多くの映画、ドラマに出演する宇梶剛士。桃子を慕う後輩・桜に、映画『進撃の巨人』(15年夏公開)に抜擢されて注目度上昇中のフレッシュな武田梨奈。さらに、秋野太作と藤田弓子が、心の痛みを抱えた桃子を黙って温かく見守る両親役で登場。ほかに宅間孝行、村田雄浩、中本賢といった演技陣が顔を揃える。

 物語の舞台は、青森県八戸市。登場するのは、陸奥湊駅前朝市、蕪嶋神社、種差海岸大須賀浜、ハーモニカ横丁など、自然と食と人の魅力に満ちた八戸の多彩な場所。そして縄文時代の集落遺跡である八戸市の是川遺跡や、国宝「合掌土偶」を擁する是川縄文館においてもロケを敢行。加えて、原始の森「世界遺産の白神のブナ林」(青森県)や御所野遺跡(岩手県)、さらにはベトナムのカットバ島でも撮影がなされた。大自然の中で桃子やクマゴロウが体感する太古の息吹が、観る者の心を知られざる魅力に満ちた縄文時代へと誘う。
 原作は、映画化された「津軽百年食堂」や「虹の岬の喫茶店」(映画タイトル『ふしぎな岬の物語』)、映画の小説版「あなたへ」を手掛けたベストセラー作家・森沢明夫の小説「ライアの祈り」(小学館文庫刊)。「津軽百年食堂」から始まる青森を舞台とした“青森三部作”の完結編でもある。映画を彩る主題歌は、ピアノトリオWEAVERによる書き下ろしの新曲「Beloved」。

 痛みを隠して明るく日常を生きる等身大の、そして優しさを知る登場人物達が、感動のドラマを織り上げる映画『ライアの祈り』。
 人は誰でも、悠久の時の流れの中に奇跡のように存在している。一万年以上もの間、平和に続いたという縄文時代。悩みを抱えて迷い立ちすくんだ時、縄文時代のシンプルで心豊かな暮らしに想いを馳せ、未来へ何かを繋ごうとすれば、きっと目の前の人生にもう一歩踏み出す元気が湧いてくるはずだ。